江村さんの歌って、男の劣等感に突き刺さる

 江村さんの歌っていうのは、男のコンプレックスをチクチクチクチク突いてくる。 「人間、生きてれば、そういうことあるよね」ってのを、ずっと引きずってるんですよ。 全部そうなんです。ずっと、そういうことを歌っている。
 あの人はすごい。男の歌を歌っている気がするんです。 男ってのは、仕事もしないといけないし、つき合っている女性(ひと)にも気を配らないといけない。 男の歌を歌う。そこが江村さんの魅力なんです。ただ、それを受け止められる人は、すごく少ない。

 実際、厳しいんですよ。いまの世の中さ、いろんなことを思ったり考えたりしている人って、少ないんです。 ヒップホップとかのライブって、悪いけど、浅い。
 ショックや挫折って、昔だったら高校生ぐらいのときに感じる人が多かった。 いまは社会人になって、それも三十近くなってから、やっと感じる人が多いと思う。
 そういう時代だから、江村さんの歌って、解っている人はたぶん少ないんです。 解っている人も、かなりきつい。一回受け止めちゃうと、たぶん好きになると思うけど。 そこが江村さんの魅力。悪いけど。
(じーてぃー。本名、田中元)

取材: 徳光一輝
2001.9.30. 東京 吉祥寺にて