day by day postscript
日々のあとがき


2008.12.09.Tue
僕の長髪の歴史は長い。
小学校三年生に遡る。
だがその長い歴史においても、今ほどに髪が長かった事はない。
最後に髪を切ったのが、いったいいつであったかは忘れてしまったが、
今年になって一度も切っていないのは確かである。
長髪に加え、時折は髭も伸び放題だったりする。
「70年代の人」「ヒッピー」などといった形容が適切な風貌だと思って頂きたい。
さぞかし、うさん臭い人物に思われているのだろう、それも致し方ない
・・・という心配とは裏腹に、かつてない頻度で道行くおばちゃんに声をかけられる。
意外にも受けが良いのか。



2008.12.05.Fri
北杜夫氏の著書「幽霊」をしばらく振りに読み返した。
僕が小学校の頃、「船乗りクプクプ」や「どくとるマンボウ昆虫記」といった、
北杜夫氏の諸作は学級文庫の定番だった。
読書嫌いだった僕でさえも、それらの本を何度となく手にしては、読んだような、
結局は読んではいなかったような・・・。
やがて中学にあがり、どういった気紛れからか、北杜夫氏の文庫本を買い集めるようになる。
それは純粋に読む為というよりは、むしろ収集目的の行動だったように思う。
少しずつ増えて行く本棚の背表紙を眺めるのは妙に心地好かった・・・。
それでも購入したからには、どうにか頑張って読むようにはしていた。
大作の「楡家の人々」を読破した時などは、我ながらよくやったと思ったりもした。
そんな中でも特に「幽霊」は、格別に心に響いたのを憶えている。
なにか落ち着かない気持ちにさえなった。
それは不思議な衝撃だった。

再び読み返してみても、やはり心は変わらずざわざわと動揺を覚える。
遠い幼少期、自分を取り巻く事象に対して感じていた畏怖や好奇心が甦る。
今にして思えば、「幽霊」を読んだあの時の衝撃こそ、
僕にとっての初めての文学体験だったのかもしれない。
そしてそれを機に読書好きに変わったかというと、それはまた先の話である。



ken emura