day by day postscript
日々のあとがき


2005.9.8.Thu
1998年に集英社文庫から出版された『憧れの大リーガーたち』(ロジャー・エンジェル 著 / 村上博基 訳) という書物がある。
スポーツ・ジャーナリストの著者が1970年代に『ニューヨーカー』に書き卸した大リーグを題材とした随筆集だ。
この本を僕と幼馴染みの二人は奇跡の書と呼んでいる。
なぜならば、そこに描かれている背景が、ちょうど僕らが夢中で大リーグを観戦していたその時期に、不思議なほど符合しているからだ。
そしてもちろん、我らが1973年のニューヨークメッツも登場する。
懐かしさと同時に、子供だった当時には知る事のなかった様々な事情も知る事ができる。
どこか夢か幻になりかけていた出来事が、再び現実の姿となって現れるかのようだ。
もちろん特別な思い入れがなくても、存分に人の心を打つ素晴らしい随筆集である。
とりわけ「終の別れ」という章は秀逸だ。
突然、脱出不能な謎のスランプに陥ったエースピッチャーの長い深い苦悩に胸が痛む。

2005.9.7.Wed
芝居小屋を作り直し、ライブハウスとして生まれ変わった恵比寿スイッチで歌った。
ニューヨークでの少年時代を共に過ごした旧友が、大好物のルートビアーやプレッツェルなどのたくさんの差し入れを携えて、見に来てくれた。
僕らは近況報告もそこそこに、すぐにあの共に過ごした幼き日々における様々な出来事の検証作業に入った。
記憶の確証を一つ得るごとに、それは幻ではなかったと安堵する。
改めて、たくさんの共通した体験を持っていた事に気付く。
特にニューヨークメッツの優勝に象徴される、あの1973年の夏がひときわ鮮やかに心に残っている点でも 僕らは共通していた。
近い将来のニューヨーク再訪を誓い、僕らのこの夜の検証作業もお開きとなった。

2005.8.16.Tue
『おんぶ』と『だっこ』の言葉の区別がつかない。
・・・で、どのように判断するかというと、おんぶばった の姿を思い浮かべる。
背中に小さいのを乗せるのが『おんぶ』だな。

ちなみに、
二匹は親子ではなく、つがいであって、背中に乗っている小さい方がオス。

2005.8.14.Sun
ランドマークタワーへ行った。
分速750メートル(世界最速) のエレベーターで展望台へ。
壮大なるパノラマを満喫。
遠方はやや白く霞んでいて、残念ながら富士山は確認出来なかったけど…。

大学生の頃、
僕は新宿京王プラザホテルで、夜中の清掃のアルバイトをしていた時期がある。
当時まだ都庁は影も形もなく、
新宿の高層ビル群の中にあって、京王プラザホテルも、まだまだ主役級の展望を誇っていた。
時折、夜明け頃に最上階47階での作業をする機会に恵まれる事もあった。
空気の澄んだ朝には、西の方向にくっきりと富士山を見る事が出来た。
それは日頃、はるか彼方に見る姿とは違い、すぐ間近に思え、とても不思議に感じられた。

話は多少飛躍するけど、
僕がそんなふうに富士山を眺めていた、まさにその頃、
富士山の麓で産声を上げたミタタケのお二人と一緒に演奏をしているという事実はなんとも感慨深い。

2005.8.2.Tue
アブラゼミとミンミンゼミの鳴き声も盛んになり、本当にまたがやってきたと実感する。
昆虫好きだった子供時代、家にはたくさんの昆虫の本があった。
子供向けの図鑑から大人仕様の洋書図鑑、ファーブル昆虫記等々。
どの本にも虜だったけれど、ひときわ印象に残っている一冊がある。
それはどこかの離れ小島にある小学校で、先生が子供達と共に、
一本の大木の根元に潜る蝉の幼虫を、片っ端から掘り返す。という内容の本だった。
何度もその本を繰り返し眺めては、いつか大木の根元を掘り返したいと夢見ていたものだ。
将来は離れ小島の先生になろうとさえ思っていた。
そんな事を思い出しながら、蝉時雨の中を散歩していると、
虫籠を提げ、片手に蝉を持った子供に遭遇した。
見ていると、彼は水道に近付き、蛇口をひねり、
そして、蝉の足を洗っている様子だ・・・
・・・不思議。

2005.6.26.Sun
今夜、青山『月見ル君想フ』で行われるイベント「cafe chocolata vol.2」にお招きを受け、
山倉健のワイルドキャッツ の一員として演奏します。
ここのところ、日曜日の演奏が続いているワイルドキャッツですが、
七つある曜日の中でも、日曜こそ『我が心の曜日』。
そして特に 早朝 という時間帯が最高!
(そんなひとときが永遠に続くかのような 夏休み は、これまた格別。)
今日は早起きをしたので、久しぶりにそんな日曜日の早朝に近所をぶらついた。
いつもより世界は澄んでいて、なんとなくイメージする天国に近いかな。



ken emura